シンス・イエスタデイ―1930年代・アメリカ (ちくま文庫)
すでに絶版になっているのかアマゾンで5000円もする(文庫なのに)。でも値打ちはある:
感想:
- バブルの形成もバブルの破裂も、いずれも社会的(心理的)現象。経済学的な分析ではわからない。アレンのような優れた社会学者(ジャーナリスト)の本を読む方がよほどよくわかる。
- ローズベルトのニューディールは各国政府が今やっていることとほとんど同じだが、効果はほとんどなかった。政府が仕事をつくり出すにも民間と競合しない仕事となると戦争でもやらないとなかなかなかった(売れない芸術家が市役所の壁画を描く仕事が貰えたぐらい)。結局バラマキばかりとなり社会の生産性が上がらなかった。株価と鉱工業生産は長年にわたり停滞したまま。失業者数も減らなかった。でも国民は何かをやってくれるだろうと指導者に期待するしかなかった。そのうち大不況が当たり前となって国民はその中に小さな幸せを見つけていく。みんなが貧乏になると社会にある種の安心感が出てくるのだ。
- 投資家はローズベルトを社会主義者として蛇蝎のごとくに嫌った。こんな状況では投資するより現時点で刹那的にお金を費消したほうがマシと言うこととなり、設備投資と技術革新が停滞する。
- でもローズベルトのバラマキがなかったら大規模な暴動が起こっていただろうから、彼ら(資産家)は救われたのである。
- 景気はよくなりかけたりまたもとの不況に戻ったりの繰り返し。結局そうこうして第二次世界大戦に突入していく。
- 景気回復のためにローズベルトはどうすればよかったのか、今度のオバマは何をするべきなのか、答はないみたいなのである。
『オンリー・イエスタデイ』も合わせて読むとなお面白い:
世界大不況からの脱出は、長期戦を覚悟するべき。
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